古田亮さんの『日本画とは何だったのか』を読んで

古田亮さんの『日本画とは何だったのか 近代日本画史論』を読んでの感想をメモします。
読みやすく、わかりやすい文章で書かれたこの本は、近代日本画史の概要をたどれる良い本だと思います。
現時点での研究成果を概ね反映されているので、逆にこの本は現在の近代日本画研究の強味と弱みを見事に反映している本と言えるかもしれません。

江戸後期から1950年前後までを順に、代表的な作家と作品でたどっていく構成は、見事です。勉強になります。

私が違和感を持ったのは、下記の二箇所。
・竹久夢二についての評価を限定的に考えているところ(p218)
・官展とくに帝展作品について、「帝展型」=「大衆的」「類型的」として、この辺りだけ飛ばされてしまったような印象を受けるところ

竹久夢二といえば、岡本神草も影響を受けている。京都日本画界には影響を与えていたと考えられます。
官展作家、特に帝展期の作家は、研究があまり進んでいないところではありますが、かといって、そこまで否定的に言わなくてもいいような印象を受けました。

なんて、ケチをつけてしまいましたが、ほとんどのところはよくできた本だと思います。

私がぼやぼやしている間に、古田さんはもう次の本を出しています。なんて早いんだ。。。


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