古田亮さんの論文「渡辺省亭 作品および落款印章に関する基礎的研究」(『國華』1504号、2021年2月)を読んで

 古田亮さんの上記論文、読み終わりました。

真贋入り交じる省亭の作品群を丹念に調査された基礎研究。

省亭は、時代によって落款の書き方が露骨に変わるわけでもなく、画風が露骨に変わるわけでもないので、画風の変遷をたどりにくいと思っていました。それを丁寧に調査されて、基準作品を整理し、落款書体の変遷、画風の変遷をたどり、省亭画の特徴を考察されています。

でも、やっぱり省亭独特の描法(質感表現や動きの捉え方など)がどうやって獲得されたかははっきりしないみたいです。そこが、省亭の難しいところですね。

はっきりした影響関係がわからないというのは、田村宗立が独学で物に影をつけて描く方法を思いついたというのに似ているような気もします。幕末明治期の画家によくあることなのでしょうか?

今後の研究の進展が待たれます。


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